さて、昨日は元利均等返済と元金均等返済について説明させていただきました。
今日は実際にある収益物件において、他の条件は全く同じにして、元利均等返済と元金均等返済を比較してみたいと思います。
〈元利均等返済の場合〉
【返済予定表】
元利均等返済の場合、上のような表となります。
これは元金返済額と支払利息額の合計が毎年同額になるのが特徴です。
元金返済が進むのが遅くなります。そこで起こり得るリスクとして、利息の総支払額が大きくなること、物件を売却したいと考えた際にローン残債が負担となり売却しにくくなる場合があることが挙げられます。
【キャッシュフロー計算書】
元利均等返済の場合、24年目でデッドクロスを迎えています。
(デッドクロスとはキャッシュアウトがキャッシュインを上回るポイントをさします)
元利均等返済を選択すると自己資金を厚くしない限り、高い可能性でデッドクロスを迎える事になります。
スタート時に得たキャッシュインは、決して勘違いしないよう蓄えておき、後々のために備えておくべきでしょう。
これが正に私が「アパート経営はスイカ」であるという理由です。
〈元金均等返済の場合〉
【返済予定表】
元金均等返済の場合、上のような表となります。
これは元金返済額が毎年同額となり、その上に支払利息額が乗る形となります。
元金返済が進みやすく、その分利息の総支払額は、元利均等返済と比べ少なく済みます。
ちなみに、今回のシミュレーションで比較すると、
元利均等返済の場合の総支払利息額 = 約1億3,000万円
元金均等返済の場合の総支払利息額 = 約1億1,500万円
元利均等返済より元金均等返済の方が、金利は約1,500万円も安くなります。
また、ローン残債が順調に減っているはずですので、将来的に物件売却も検討しやすくなるでしょう。
【キャッシュフロー計算書】
元金均等返済の場合、今回のシミュレーションではデッドクロスを迎えていません。
元金均等返済の場合はデッドクロスを迎えにくくなります。
元金均等返済を選択してもデッドクロスが発生する場合は、物件価格が高すぎる可能性があるので、購入を見送った方が良さそうです。
または自己資金を厚くしましょう。
いかがでしょうか?
アパート経営では【元金均等返済】が向いている理由はお分かりいただけたでしょうか?
元利均等返済を選択し、初期にキャッシュを貯めて2棟目→3棟目と積極購入を考える方もいらっしゃいます。
5年おき等一定の間隔を空けながら、デッドクロスが来る前にキャッシュインを高めるために物件を購入するわけです。
しかしこれは大変リスクがあります。
金融機関の融資姿勢は目まぐるしく変わります。
フルローンやオーバーローンが認められなければ自己資金を投じなければならず、購入する際に多額のキャッシュアウトが生じるかもしれません。
それこそ本末転倒です。
一番のリスクは止まりたいけど止まれなくなることです。
「元利均等返済」と「元金均等返済」
それぞれの特徴をしっかり理解した上で、ご自身に合った融資条件を選択するようにしてください。