中古の収益物件を購入する際、土地価格と建物価格を売買契約書に記載しないケースがあります。
購入後の会計処理に必要な為、購入後にそれぞれの価格を決めなければなりません。
その決め方が重要になります。
事業主からすると、建物価格に比重を置きたいですよね?
例えば、売買価格が1億とします。
土地価格3,000万円・建物価格7,000万円とすると、7,000万円に減価償却費を計上することができます。
減価償却費はキャッシュアウトの無い経費ですから、少しでも多く計上できれば、その分キャッシュフローが回りやすくなります。
だったら土地価格を1,000万円・建物価格を9,000万円にしよう!
というわけにはいきません。
ほぼ間違いなく、税務署に否認されてしまうからです。
税務署に否認されないためには「合理的な理由」が必要となります。
しかしこの合理的な理由について、税務署からは明確な答えを聞くことはできません。
「一般的に推奨する計算方法というものはありません、ケースバイケースです」
という返答のみです。
RPSSでは、自動計算の場合、土地価格と建物価格を自動で算出できるようにしていますが、その計算方法は次のとおり設定しています。
土地価格=固定資産税評価額から算出
建物価格=売買価格-土地価格
この計算方法をすると、建物価格に比重が偏りやすくなり、税務署から否認される可能性があるので、合理的な理由が必要となります。
一般の住宅物件と違い、収益物件の建物は収益を生む価値を持っています。
「その収益力を物件価値とみなし、建物価格を算出している」
これを根拠として示してみると宜しいかと思います。
しかし税務署の担当者ベースで違いがあり、否認される可能性が有り得ます。
税務署の指摘を受けにくくするのであれば以下の二つが良いでしょう。
①土地建物それぞれの固定資産税評価額のバランスに合わせる
例えば、
土地の固定資産税評価額=3,000万円
建物の固定資産税評価額=3,000万円
だったとすると、
売買価格が1億円の場合、土地5,000万円・建物5,000万円に按分することになります。
結果、建物価格は低くなり、計上できる減価償却費も小さくなってしまいます。
②売買契約書の中で土地価格と建物価格をしっかり分けておく
こうすることで、よほど極端でない限り否認される可能性は低くなります。
この方法が最も望ましいです。
しかしここでの問題点は、売主が消費税課税業者であるかどうかです。
もし売主が消費税課税業者であれば消費税負担が増えるため、建物価格が大きくなることを嫌い、売主と買主の希望が合わない状況となります。
売主が消費税非課税業者であり、建物価格に対し消費税がかからない取引となるケースであれば、仲介不動産会社を通して建物価格の比重を高くしてもらうと良いでしょう。
RPSSでシミュレーションする際には、土地価格と建物価格をそれぞれ手入力していただくこともできますので、ご自身のスタンスで入力してみてください。